「くやしい」はなぜ「悔しい」が正しく「悔やしい」は間違いなのでしょうか。
「悔い(くい)」の悔は「く」と読むのに、なぜ「悔やしい」は正しくないのでしょうか。
この記事では、この謎を解明しています。
この謎の真の意味が分かりますよ。
「悔やしい」ではなく「悔しい」が正しい理由
「悔しい」が正しい表記とされる理由は、言葉の意味や読み方を明確に伝えるためです。
この理由には、いくつかの要素が関係しています。
そのためこれらの要素を順を追って説明します。
- 送り仮名の大原則
- 送り仮名の例外規則
- 例外規則の趣旨
送り仮名の大原則
送り仮名の大原則は、語幹を漢字で、活用語尾を平仮名で表すことです。
本則
活用のある語(通則2を適用する語を除く。)は,活用語尾を送る。
文化庁 「送り仮名の付け方 単独の語 1 活用のある語 通則1」
例えば、「読む」「長い」のような言葉です。
「読む」はマ行四段活用で「よ」が語幹。
未然形 | よま |
連用形 | よみ |
終止形 | よむ |
連体形 | よむ |
已然形 | よめ |
命令形 | よめ |
語幹とは変化しない部分で、活用語尾は変化する部分です。
この原則に従えば、形容詞「くやしい」の「くやし」は語幹ですので、「悔い(くやしい)」となります。
つまり正しいはずの「悔しい」は、この大原則に反しています。
送り仮名の例外規則
この大原則に反している理由は、昭和48年の内閣告示「送り仮名の付け方」で例外規則が発表されたからです。
昭和48年6月18日および平成22年11月30日に一部改正された内閣告示第3号「送り仮名の付け方」では、本則の例外として語幹が「し」で終わる形容詞は「し」から送り仮名をつけると明記されました。
こちらは内閣告示「送り仮名の付け方」からの引用です。
例外
(1) 語幹が「し」で終わる形容詞は,「し」から送る。
〔例〕 著しい 惜しい 悔しい 恋しい 珍しい
文化庁 「送り仮名の付け方 単独の語 1 活用のある語 通則1」
その例としても「悔しい」が記載されています。
これにより、「くやしい」は例外規則に従って「し」から送り仮名をつけることで正しい表記とされました。
例外規則の趣旨
このような例外規則を作ったのは、名詞「悔い」との混同を避けるためだと推測されます。
「悔い」は名詞で「くい」と読みます。
もし「くやしい」を送り仮名の大原則に従って「悔い」と表記すると、名詞の「悔い(くい)」と混同する可能性があります。
「悔しい」という表記は、このような混同を避け、読み手に正確な読み方と意味を伝えるためだと推測されます。
「くやしい」はなぜ「悔しい」が正しく「悔やしい」は間違いなのか|まとめ
「悔しい」が正しい表記とされるのは、送り仮名の例外規則に従い、名詞「悔い」との混同を避けるためと推測されます。
個人的には「辛い(つらい)」と「辛い(からい)」の混同も修正してほしいです。
今のところ私は、つらいとひらがなで書き、からいは漢字で書いて対応しています。
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